ルイの電話2
ルイの電話2
~~~舞台背景~~
よくわからない日常シリーズ
~~~舞台背景ここまで~~~
トゥルルルル
トゥルルルル
キュピル
「・・・・・」
トゥルルルル
キュピル
「こんな朝早くに一体誰だ・・・。」
一瞬だけ目を開き受話器の位置を確認して受話器を手に取り再び目を瞑る。
キュピル
「はい・・キュピルです」
ルイ
「おはようございます」
キュピル
「・・・ルイか?」
ルイ
「はい」
キュピル
「・・・どうしてこんな朝早くに。何かあったのか?」
キュピルが目をつむったまま会話する。まだ眠気が取れない。
ルイ
「いえ、昨日の夜キュピルさんが朝の六時に起きなければいけないと言っていましたので
モーニングコールをかけました。どうです?目覚めましたか?」
キュピル
「・・・起きたばっかりのちょっとした驚きってのはあんまり効果ないみたいだ」
ルイ
「あら・・・残念です。」
再び目を開け時計に眼をやる。・・・五時五十分。
キュピル
「・・・あと10分ぐらい時間あるから少しお喋りしてもいいか?」
ルイ
「構いませんよ」
キュピル
「昨日の続きについて聞いてもいいか?」
ルイ
「えーっと、どこまで話しましたっけ?」
キュピル
「ルイがジンという人に拾われて屋敷に住み始めたって所だ。
・・・その屋敷に住み始めてすぐにメイドになったのか?」
ルイ
「正確には数カ月かした後です。ジン様のお役に立ちたいとメイドの職についたのですが
当時六歳だった私に出来る事は少なく逆にジン様が気を使ってくれて私に出来る事をお願いしたりと
今思えばむしろ迷惑をおかけしていましたね・・・」
キュピル
「・・・それで?」
ルイ
「その後は本当に普通です。何年か経過して私が10歳になったある時、正式にメイドとして認められて
普通に職業をこなして行きました。」
キュピル
「なるほど・・。と言う事はルイはメイド歴が凄い長いんだな」
ルイ
「確かに長いですね・・。14年もメイドやっていたことになりますし」
ルイが苦笑しながら答える。
キュピル
「・・・もう少し話を聞いてもいいか?・・ルイの過去の話、もっと聞きたい。」
ルイ
「興味があるんですか?」
キュピル
「ああ。」
ルイ
「ふふっ・・。別に話してもいいですけど・・面白い話は一つもありませんよ?」
キュピル
「別に構わない」
ルイ
「それなら・・。・・あ、でもその前に」
キュピル
「ん?」
ルイ
「今度キュピルさんの過去の話を聞かせてください」
キュピル
「・・・」
ルイ
「・・・ダメですか?」
キュピル
「いや、話してもいいが何一つ楽しい物はない。あまりお勧めは・・・」
ルイ
「それでもいいです。・・・聞かせてください」
キュピル
「・・・わかった。帰ったらワインでも飲みながら話そう」
ルイ
「楽しみにしています」
キュピル
「・・そうだ、ルイはいつからメイド長になったんだ?」
ルイ
「私が15歳になった時です」
キュピル
「・・・随分早いんだな」
ルイ
「唯一救いだったのは物覚えはよかった方らしいので・・。いつのまにか色んな礼儀や作法を覚えて
一時期少し有名人になってしまったこともあります」
キュピル
「有名人?」
ルイ
「やっぱり異例の若さでメイド長になった事に貴族たちの間で話題になったみたいです。」
キュピル
「ほぉ・・・」
ルイ
「私がメイド長になった時、ジン様がパーティーを開いて貰った事があります。
今でもその時の記憶は鮮明に残っています。」
キュピル
「やはり楽しかったか?」
ルイ
「ええ、もちろんです」
キュピル
「ますます不思議に思ってしまう」
ルイ
「何がですか?」
キュピル
「・・・ルイがメイド長やめてしまったことにだ。」
ルイ
「あれはモンスターの襲撃で屋敷が燃えてしまい人員削減するためにくじ引きで・・・」
キュピル
「それが一番不思議なんだ。・・・それほど優秀なルイを何故ジンは手放したんだろうって。
普通そこまで育てて尚且つ有名人になったのなら普通ルイは特例で解雇したりなんかしない。
・・・本当は何か知ってるんじゃないのか?」
ルイ
「・・・やっぱり読みが鋭いですね。キュピルさん」
キュピル
「・・・少し考えれば誰でもそう考えるはずだ」
ルイ
「・・・メイドが嫌になったんです」
キュピル
「メイドが嫌になった?」
ルイ
「はい。・・・確かに異例の若さでメイド長になり一躍有名人となった私はその時こそは
非常に嬉しかったのですが・・・。・・・ちょっと厄介な事が立て続けに起こりまして・・。」
キュピル
「・・・もしや引き抜きか?」
ルイ
「大当たりです。・・・色んな貴族の方に『私の元へ来ないか?今の屋敷より更に高い地位や賃金を約束しよう』
などと言った・・ヘッドハンティングが沢山来ました。
・・・もちろん私はジン様に御恩があるので全てお断りしましたが・・・。
ヘッドハンティングしに来た方たちは皆私の事を『物』として見ていたのが凄く気に入りませんでした・・」
キュピル
「・・・物か」
ルイ
「私をコレクションの何かと見ていたのがとにかく不快でした・・・。」
キュピル
「だが、ジンという人は・・」
ルイ
「・・・実はある時。ジン様も私の事を『物』だと思っていた事が分かってしまいました」
キュピル
「・・・一体何が?」
その時キュピルの部屋に置いてある目覚まし時計がけたたましく鳴り響いた。六時だ。
キュピル
「・・・六時だ。もう起きないと」
ルイ
「分かりました」
キュピル
「・・・また夜。電話かけていいか?」
ルイ
「いいですよ、楽しみにしています」
キュピル
「最後に確認したいんだが・・。自分の過去の話を聞かれて別に不快に思ったりしないか?」
ルイ
「え?」
キュピル
「・・・かなり話しづらい過去だと思う。聞いていてルイに少し嫌われないか不安だ」
ルイ
「・・ふふ。中々可愛い事いいますね、キュピルさん」
キュピル
「・・・悪かったな」
ルイ
「キュピルさんだからこそ話せるんですよ」
キュピル
「・・・」
少し恥ずかしくなって自分の頭を掻く。
キュピル
「・・・それじゃ、また夜」
ルイ
「はい。今日も一日頑張ってください」
キュピル
「ルイもな」
そこで通話は途切れた。・・・また夜。
~~~舞台背景~~
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~~~舞台背景ここまで~~~
トゥルルルル
トゥルルルル
キュピル
「・・・・・」
トゥルルルル
キュピル
「こんな朝早くに一体誰だ・・・。」
一瞬だけ目を開き受話器の位置を確認して受話器を手に取り再び目を瞑る。
キュピル
「はい・・キュピルです」
ルイ
「おはようございます」
キュピル
「・・・ルイか?」
ルイ
「はい」
キュピル
「・・・どうしてこんな朝早くに。何かあったのか?」
キュピルが目をつむったまま会話する。まだ眠気が取れない。
ルイ
「いえ、昨日の夜キュピルさんが朝の六時に起きなければいけないと言っていましたので
モーニングコールをかけました。どうです?目覚めましたか?」
キュピル
「・・・起きたばっかりのちょっとした驚きってのはあんまり効果ないみたいだ」
ルイ
「あら・・・残念です。」
再び目を開け時計に眼をやる。・・・五時五十分。
キュピル
「・・・あと10分ぐらい時間あるから少しお喋りしてもいいか?」
ルイ
「構いませんよ」
キュピル
「昨日の続きについて聞いてもいいか?」
ルイ
「えーっと、どこまで話しましたっけ?」
キュピル
「ルイがジンという人に拾われて屋敷に住み始めたって所だ。
・・・その屋敷に住み始めてすぐにメイドになったのか?」
ルイ
「正確には数カ月かした後です。ジン様のお役に立ちたいとメイドの職についたのですが
当時六歳だった私に出来る事は少なく逆にジン様が気を使ってくれて私に出来る事をお願いしたりと
今思えばむしろ迷惑をおかけしていましたね・・・」
キュピル
「・・・それで?」
ルイ
「その後は本当に普通です。何年か経過して私が10歳になったある時、正式にメイドとして認められて
普通に職業をこなして行きました。」
キュピル
「なるほど・・。と言う事はルイはメイド歴が凄い長いんだな」
ルイ
「確かに長いですね・・。14年もメイドやっていたことになりますし」
ルイが苦笑しながら答える。
キュピル
「・・・もう少し話を聞いてもいいか?・・ルイの過去の話、もっと聞きたい。」
ルイ
「興味があるんですか?」
キュピル
「ああ。」
ルイ
「ふふっ・・。別に話してもいいですけど・・面白い話は一つもありませんよ?」
キュピル
「別に構わない」
ルイ
「それなら・・。・・あ、でもその前に」
キュピル
「ん?」
ルイ
「今度キュピルさんの過去の話を聞かせてください」
キュピル
「・・・」
ルイ
「・・・ダメですか?」
キュピル
「いや、話してもいいが何一つ楽しい物はない。あまりお勧めは・・・」
ルイ
「それでもいいです。・・・聞かせてください」
キュピル
「・・・わかった。帰ったらワインでも飲みながら話そう」
ルイ
「楽しみにしています」
キュピル
「・・そうだ、ルイはいつからメイド長になったんだ?」
ルイ
「私が15歳になった時です」
キュピル
「・・・随分早いんだな」
ルイ
「唯一救いだったのは物覚えはよかった方らしいので・・。いつのまにか色んな礼儀や作法を覚えて
一時期少し有名人になってしまったこともあります」
キュピル
「有名人?」
ルイ
「やっぱり異例の若さでメイド長になった事に貴族たちの間で話題になったみたいです。」
キュピル
「ほぉ・・・」
ルイ
「私がメイド長になった時、ジン様がパーティーを開いて貰った事があります。
今でもその時の記憶は鮮明に残っています。」
キュピル
「やはり楽しかったか?」
ルイ
「ええ、もちろんです」
キュピル
「ますます不思議に思ってしまう」
ルイ
「何がですか?」
キュピル
「・・・ルイがメイド長やめてしまったことにだ。」
ルイ
「あれはモンスターの襲撃で屋敷が燃えてしまい人員削減するためにくじ引きで・・・」
キュピル
「それが一番不思議なんだ。・・・それほど優秀なルイを何故ジンは手放したんだろうって。
普通そこまで育てて尚且つ有名人になったのなら普通ルイは特例で解雇したりなんかしない。
・・・本当は何か知ってるんじゃないのか?」
ルイ
「・・・やっぱり読みが鋭いですね。キュピルさん」
キュピル
「・・・少し考えれば誰でもそう考えるはずだ」
ルイ
「・・・メイドが嫌になったんです」
キュピル
「メイドが嫌になった?」
ルイ
「はい。・・・確かに異例の若さでメイド長になり一躍有名人となった私はその時こそは
非常に嬉しかったのですが・・・。・・・ちょっと厄介な事が立て続けに起こりまして・・。」
キュピル
「・・・もしや引き抜きか?」
ルイ
「大当たりです。・・・色んな貴族の方に『私の元へ来ないか?今の屋敷より更に高い地位や賃金を約束しよう』
などと言った・・ヘッドハンティングが沢山来ました。
・・・もちろん私はジン様に御恩があるので全てお断りしましたが・・・。
ヘッドハンティングしに来た方たちは皆私の事を『物』として見ていたのが凄く気に入りませんでした・・」
キュピル
「・・・物か」
ルイ
「私をコレクションの何かと見ていたのがとにかく不快でした・・・。」
キュピル
「だが、ジンという人は・・」
ルイ
「・・・実はある時。ジン様も私の事を『物』だと思っていた事が分かってしまいました」
キュピル
「・・・一体何が?」
その時キュピルの部屋に置いてある目覚まし時計がけたたましく鳴り響いた。六時だ。
キュピル
「・・・六時だ。もう起きないと」
ルイ
「分かりました」
キュピル
「・・・また夜。電話かけていいか?」
ルイ
「いいですよ、楽しみにしています」
キュピル
「最後に確認したいんだが・・。自分の過去の話を聞かれて別に不快に思ったりしないか?」
ルイ
「え?」
キュピル
「・・・かなり話しづらい過去だと思う。聞いていてルイに少し嫌われないか不安だ」
ルイ
「・・ふふ。中々可愛い事いいますね、キュピルさん」
キュピル
「・・・悪かったな」
ルイ
「キュピルさんだからこそ話せるんですよ」
キュピル
「・・・」
少し恥ずかしくなって自分の頭を掻く。
キュピル
「・・・それじゃ、また夜」
ルイ
「はい。今日も一日頑張ってください」
キュピル
「ルイもな」
そこで通話は途切れた。・・・また夜。
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